目次
文書の過去の版を表示しています。
開発経緯
戦国史作者asaka氏の「戦国史」の開発経緯について、戦国史公式掲示板に言及がありましたので転載します。
貴重な開発秘話だと思います。
戦国史公式掲示板の過去ログ(2005/04/25-07:00)より転載、一部掲載のため編集しています。
1.開発経緯
開発の直接のきっかけは、フリー版公開当初(約4年前)からプレイして頂いている方はご存知かもしれませんが、(多くの期待を集めて)当時発売された某社の戦国シミュレーションゲームが色々と問題作だったことです。
その時の勢いで「ここは一つ自分で作ってやろう」と奮起して自作を始めました。
もともと、戦国ゲームはシステムソフトの「天下統一」の初代と2に随分とハマったものですが、城攻めが1ターン完結で、落とせなかったら兵をすぐに引き上げてしまうというのが不満でした。
そこでまず第一に、『複数ターンにわたって城包囲(強襲か兵糧攻め)を継続できて、強襲の場合は徐々に城内部に侵攻していき、兵糧攻めならば兵糧が徐々に減っていくシステム』というのを、このゲームの基本システムとしました。
これまでの戦国ゲームでは、基本的に
「(侵攻するのに十分な)兵力を増やし」→「侵攻」
の繰り返しでしたが、このゲームでは、攻める兵力が少なければ落城に時間がかかり、兵力が多ければ早く落城させることができるということになり、戦略の幅が広がります。
また、落城時期を見極めて援軍を差し向けたりなどの戦略をとることもできます。
その後、外交の充実などシステムを拡張してきたわけですが、ユーザーの皆さんからも比較的好評価を頂いたことも励みになり、現在の形になるまで開発を続けることができました。
2.コンセプト
このゲームの製作を進めてきた中での「コンセプト」というか、こだわってきたことについてまとめてみました。
戦略面の重視
個人的な嗜好なのですが、戦術面(合戦での用兵など)は全く興味がなく、戦略面(兵力の戦略的運用や外交など)に面白みを感じる性格なので、このゲームでは、戦略面を重視し、戦術面はごく単純化したシステム(これにはユーザーの皆さんの不満も多いとは思いますが)になっています。
したがって、合戦において戦術を駆使して寡兵で大軍を破ることはシステム上不可能です。(例外的に、奇襲や鉄砲配備量などで、小数の兵でも合戦を有利に進めることは可能ですが)
合戦で大軍に勝てないと爽快感は無いですが、その分戦略を廻らすことの重要性が増します。
つまり、外交によって大国と同盟を結んで戦争を避けたり、兵力の集中的な運用で常に有利な状況で合戦に臨むことが重要になるわけです。
大国との国力差が大きすぎる場合はあえて敵大名に従属し、反旗を翻す機会をうかがうという戦略をとることもできます。
外交の充実
戦略面重視ということもあり、外交システムにはこだわっています。
不戦同盟・従属・臣従という現在のシステムは早い段階にできていたのですが、主家鞍替えや従属志願・臣従志願などは後から追加しています。
特に弱小大名の動向はできるだけリアルになるように工夫しています。
例えば、単純に主家と敵対大名の国力差を比較して鞍替えや独立をするのでなく、その時の大名家の「勢い」(拡張期にあるのか衰退期にあるのか)を判断するようにしています。
勢力拡大に伴う操作の煩雑化防止
これまでの戦国ゲームでは、勢力が大きくなると操作対象となる武将や城が増えて、どうしても操作が面倒になってきます。
最初の小勢力のうちは面白くても、少し勢力を拡大すると難易度も下がり、操作も面倒になって結局飽きてしまう、というのがよくあるパターンです。
その問題に対する一つの回答として、「当主の位置による直接操作国制限」と「軍団委任制」を採用しています。
つまり、強制的に直接操作することができる範囲を当主の周囲だけに限定することで、プレイヤーの作業量を減らしているわけです。
と同時に、直接操作できない領地を軍団に委任することで、プレイヤー側が有利になり過ぎないようにバランスをとっているという一面もあります。(軍団の思考はCPU操作の大名と基本的に同じです)
プレイヤーが各種の軍団を編成して指示を与えることで、史実上で各方面軍を従えていた織田家などの雰囲気を味わえるという意味もあります。
大名のコマンド実行順
通常ターン制のゲームは、先に順番が回ってきた大名が有利になる(あるいは逆に後に順番が回ってきた大名が有利になる)などの問題がありますが、このゲームではターン制でありながらそのような問題が発生しないように作っています。
例えば、武将移動では移動指示した武将がその時点で移動するのではなく、全ての大名が武将に移動先を決定してから(フェイズの最後で)実際の移動が行われますので、移動のターンが回ってくる順番が早くても遅くても他の大名の武将位置に関して得られる情報は変わらず、有利・不利はありません。
出陣では、先に行動した側の部隊が後に行動する側の部隊を足止めできるという仕様はいやだったので、例えば隣接する2城から互いに相手の城へ出陣した場合は城の間で戦闘になり、勝ったほうが城攻めに移れるようなシステムになっていますので、行動順序での有利・不利はありません。
合戦でも、各ターンで陣の移動や戦闘などは2つの大名が同時に実行しますので、ターンの回ってくる順番という概念がそもそもありません。
情報の開示
自国・自大名の情報はもちろん、他国・他大名の情報についても一切隠蔽せずにいつでも自由にプレイヤーが見ることができるというスタイルを採用しています。
リアルでないと思われるかもしれませんが、様々な情報を見ながら最適な戦略を練るというのは、この種の戦略ゲームの醍醐味だと思います。
CPU側の思考ルーチンでも、敵国の情報を全て利用していますので、歯ごたえのあるアルゴリズムを組むことが出来ます。
リアリティとゲーム性
シミュレーションゲームでは、リアリティがあってなおかつゲーム性が高いというシステムが理想ですが、両立できない場合はゲーム性を重視するという方向で作っています。
例えば徴兵システムなどは、リアリティ優先した場合は武将の身分によって配下の兵数が自動的に決まってしまうようなシステムが考えられますが、これでは強い武将に兵力を集中させる楽しみがなくなってしまい、戦略の幅も狭まってしまいます。
そこで、現在のような徴兵した兵を自由に割り振ることができるオーソドックスなスタイルを採用しています。
前に述べた情報の開示についても、リアリティよりもゲーム性を優先していると言えます。
シナリオ・マップのエディット機能
当初はエディット機能を充実させることは全然考えていなかったのですが、(自分がシナリオを作りやすいように)シナリオをテキストファイルで編集できるようにした途端にユーザーシナリオが色々と登場してきましたので、これは自分でシナリオをつくるよりも面白いと思い、その後はマップエディタなども作ってエディット機能を充実させてきました。
グラフィック
当初は、グラフィックには注力しない(その分システムの充実に力を入れる)という思想で作っていましたので見た目は相当貧弱でしたが、途中でやはり少々物足りなくなって、ある程度グラフィック品位にも力を入れるようになってきました。(とはいっても、市販のものには到底及びませんが)
特にシェアウェア版で実装している標高データによる地形描画機能は結構時間をかけて作りこんでいます。
ユーザーが地形やテクスチャをエディットすることもできるので、様々なユーザーシナリオが登場することを期待しています。
現状のソフトで、これらの「こだわり」が十分に実現できているかどうかは皆さんの判断にお任せするしかないですが、早めに正式版をリリースできるようにしばらくは開発に注力していきます。
「外交システムの多様化」に関する質問に対して
(2005/04/26-19:33)
外交面については、現在のシステムがうまくシンプルにまとまっているので、なかなか拡張しづらいというのが実情です。
領土の通過を許可したとしても、現在の城20人制では本来の城所有大名の行動が制限されてしまうので、システムを改めないといけないでしょう。
(所有大名武将20人、同盟大名武将20人、包囲武将20人とか、あるいは40人枠にして同一大名は20人までというシステムを考えたこともありますが、あまり複雑化するのもどうかと思いますし)
そういえば、現在の海上封鎖についても、当初は城武将20人、包囲武将20人、海上封鎖武将20人、という2重包囲構造を考えていたのですが、複雑化しすぎると思って現在の形にしています。
「補給・兵站維持の表現」に関する質問について
(2005/04/26-19:33)
補給・兵站維持については、今回は経路の特徴を出すために簡易的に導入してみましたが、現在のシステムでうまく表現するのはなかなか難しいですね。
各武将に領地を割り当てるという概念があれば、領地から遠いほど補給が大変になるなどの表現ができますが、ソフトの手間とゲーム性を考えると、そこまで複雑化するのは不可能でしょう。